「防御」と「攻撃」を明確にする

2020/05/18
守る資産はあくまでも元本保証のもので

資産運用で一番大切なのは何だと思いますか。その答えは「なぜ資産運用をするか」にあります。資産運用するのは、もちろんお金を増やしたいからかもしれません。では、何故お金を増やしたいかといえば、自分や家族の望みを叶えるためです。その「望み」つまり貯蓄と同じで資産運用も目的をはっきりさせることです。

自分の望みを叶えるための資産運用と増やすための資産運用では違ってきます。お金を大きく増やそうとするということは、大きく減らしてしまう可能性もあるということ。でも、自分の望みをかなえるために決して減らしてしまってはいけないお金ってありますよね。

運用の目的を知って「守る」「攻める」をハッキリさせることこそが大事です。守りはあくまでも固く、攻めるなら手負いも覚悟!そこを曖昧にしない。自分の中でキッチリ線を引いておく。それが不幸にならないための資産運用の極意です。

「守る」金融商品に利殖性を期待しない

例えばイザという時の予備費、子供の教育資金、近々購入予定のマイホーム資金などはキッチリと「守る」べき資産です。それは「守り」の元本保証の金融商品に預けるべきです。銀行などの貯蓄預金、スーパー定期、ゆうちよ銀行の貯蓄貯金、定期貯金、定額貯金などがこれにあたります。銀行が破たんした場合にも定期預金や一般預金は預金者1人あたり、1金融機関、元本1,000万円とその利息まで保護される点も安心です。

イザという時の予備費は「イザ」という時に下ろせなければ意味がありません。そういう意味で流動性も大事です。当面使わないだろうと思って株を購入したりすると必要になった時に値下がりしていたり、取引が少ない銘柄なら中々売れなくて換金できないということにもなりかねません。

「守る」ための金融商品の難点は金利が低く、利殖性が無いことでしょう。でも「守る」金融商品には「増やすこと」を期待しない方がいいのです。少しでも金利の良いものをというならネット銀行の定期預金を利用するのも1つの手です。

原則を曲げることが危機を招く

株や投信などを含め資産運用をしていれば、資産が減ってしまうこともあります。リスクのあるもので運用すれば、資産額の増減があるのは当然です。ただ、問題はそのことによって自分のライフプランを変更しなくてはいけないような事態が起こることです。

マイホームが買えなくなったり、老後の生活資金を失ったりなど、ライフプランを実現するために資産運用をしているのに、それでは何のために資産運用をするのかわかりません。

そうした事態を避けるには、守るものはあくまで守るという姿勢を貫くことです。ちょっとお得そうとか、少しだけなら大丈夫かも、などと原則を曲げてしまうことが危機を招きます。


一見、おトクそうな商品に注意。リスクとリターンに納得できる金融商品を

様々な金融商品が販売されるようになりました。複雑な仕組み預金、保険と運用が一緒になった変額年金保険、派生商品を組み込んだ金融商品など分かりにくいものも増えています。昔は銀行といえば元本保証の預金がメインでしたが、今の時代は銀行で勧められるからといって元本保証の金融商品とは限りません。

1990年代初めて銀行が投資信託業務に参入し、銀行系の投資信託が販売されることになりました。当時銀行の窓□で投信の販売は禁止されていて、販売のチャンネルをどうするかということが問題になっていました。それから十数年、銀行の窓□では投資信託がバンバン売られています。時代は変わっていくものです。金融商品を選ぶ知識も益々必要になってきています。

おいしい金融商品はあるの?

さて、色々な金融商品を選ぶ時に注意したいのは「一見お得そう」という所に引っかからないことです。人はどうしても「儲けたいけど損はしたくない」と思うものです。そうしたニーズを金融商品にしてみると「そこそこ利息や配当があって、でも元本は大丈夫そうなイメージ」ということになるのではないでしょうか。でも、本当に元本保証で儲けることのできる、おいしい金融商品なんてあるのでしょうか?

ここでリスクとリターンについて考えてみたいと思います。リスクとは何かというと「ブレ」です。株価が上がったり下がったり、これが「ブレ」です。リターンは儲けです。一般に株のようにリターンが大きいものほどブレは大きいものです。リターンを期待するならプレもあると思うのが理に適っています。

例えば、元本確保型変額年金保険は元本が確保されるので安全で運用がう上手くいけば大きく儲けられそうなイメージですね。でも、元本が減れば保険会社が穴埋めしなくてはならないので資産を大きく増やすために上がったり下がったりとプレるようなリスクを取る運用はしにくいと考えられるでしょう。

手数料や流動性にも注意!

日経平均株価がある一定ラインを割らなければ元本が戻ってきて高い分配金などが得られるような金融商品も一見、安全で儲けが多そうです。でも、日経平均が一定ラインを割らないとは限りません。そうした値下がりするリスクを負っている一方、日経平均が上がっでも、一定の分配金しか貰えないのは本当にお得でしょうか?

金融商品を選ぶ際は金利が良さそうとか元本を割らないかどうかということだけでなく、手数料や預け入れ期間などに注意することも大事です。配当が高そうに見えても実は手数料も高かったり、途中解約ができなくて、途中解約したばかりに元本を減らしてしまったりすることもあり得ます。金融商品の内容が分からないものは購入しないほうが身のためです。リターンとリスクがちゃんと見える金融商品を選びましょう。