定期預金 VS 個人向け国債

2020/06/03
変動と固定はどっちがお得?

親戚のM子とその友達と一緒にお酒を飲んだとき、私がFPだと知るとマネーがらみの質問攻めにあいました。一番盛り上がったのは「新聞や雑誌の金融商品ランキングで個人向け国債というのがいつも上位だけど、これって買った方がいい?」という質問が来ました。

大手銀行の定期預金は10年定期でも0.5%(2009年7月現在)ですが、個人向け国債は「固定5年」が0.825%で「変動10年」が0.73%(2009年7月発行分)です。預貯金より高い金利なので彼女たちが興味を持つのも当然です。

私から「固定5年と変動10年のどちらを選ぶ?」と質問すると答えは分かれました。皆さんもちょっと考えてみてください。答えは後回しにするとして仕組みを見てみましょう。

個人向け国債は年に1月、4月、7月、10月に4回発行され、1万円単位で購入できます。半年ごとに利子が支払われ、満期時に最後の利子と元本が戻ってくる仕組みです。

満期までの期間が5年のタイプは最初に決めた金利が5年間変わらない固定金利型で、10年のタイプは半年ごとに金利の見直しが行われる変動金利型です。

利率だけを比較して高いほうを選びがちですが、変動金利と固定金利では商品性が異なるため同じ土俵で比較できず、注意が必要です。選択基準のポイントを整理しましょう。

お金を効率よく増やすには「金利上昇局面では変動金利型」が基本セオリーです。これから金利が上昇するなら低金利商品で長期間固定せずに上昇の波に乗れる商品を選ぼうという考え方です。

皆さんが金利がコンスタントに上がると考えるなら「変動10年」を「まだ金利は上がらない」もしくは「上下するのでは?」と考えるなら「固定5年」がいいでしょう。

つまり、皆さん自身が今後の金利動向をどう考えるかによって選ぶべきタイプが変わってくるということ。う~ん、難しいですね。

迷ったときは半々プランという考え方もあります。どちらが有利となるかは後になってみないと分からないので、予算の半分を「固定5年」を購入して残りを「変動10年」を購入するのもひとつの手です。

ネット定期も視野に入れて

質問されるままに個人向け国債の話をしたのですが、最後に「若い世代に個人向け国債はあまりお勧めしない」とアドバイスしました。その理由は半年ごとに利子が支払われる仕組みだからです。

半年ごとの利子を使ってしまうと、満期時には元本と最後の半年分の利息が戻るだけでほとんど増えませんし、利子を再運用するにも手間がかかるため若い世代にはどうかと思います。

現役の間はリタイア後に向けてせっせと金融資産を増やしてリタイアしたらそれを取り崩す生活になるので若い間は利子を受け取らず、満期時に元金と利息が一括で受け取れる商品がいいと私は考えています。

もうひとつの理由はネット定期預金の中には個人向け国債並みに金利が高いものもあるので、そちらも選択肢に入れてほしいからです。例えば同じ時期、インターネット専業銀行のソニー銀行の定期預金は1年ものが0.75%で、5年ものが0.707%でした。

利息について満期時一括支払型を選べば途中、利息は支払われません。利息を使ってしまう心配もないので、この方が効率的です。

ネット定期の活用ポイントは金利上乗せをしているキャンペーン時期に預け入れすることです。ソニー銀行に限らずネット定期を取り扱う多くの銀行が年に2回、ボーナス時期になるとキャンペーンを行っています。

金利だけでなく使い勝手もチェックして自分に合った商品を選べるようにするのがマネー美人への道です。