年金制度のイロハを知っておこう

2020/06/04
「年金制度」が破綻しているわけではない

親戚のM子から電話がかかってきた時、ちょうど年金制度の本を読んでいたので「国の年金についてのイメージは?」と聞いてみたら、私の想像を超える答えが返ってきました。

M子いわく「年を取っても、どうせもらえない。最悪の場合ゼロを覚悟している。株価がこんなに下がっているから、運用益なんて期待できないし、老後に月8,000円もらっても仕方ない」

M子のお金オンチを知っている私ですが、気を取り直して「それ全部間違っているよ」と言ってみたものの、制度の説明を受ける機会がなく同様に考えている人も多いのでしょうね。「年金制度のイロハ」についてお話ししましょう。

一番多いのはM子のように「どうせもらえない!年金は破綻する!」という根拠のない思い込みです。社会保険庁の不祥事が続いたため、ネガティブなイメージを持つのでしょう。

確かに社会保険庁の「運営」は破綻寸前であることが明らかになりましたが、年金制度が破綻しているわけではありません。この点は正しく覚えておきましょう。

いくらもらえるのかも、知りたいところですね。その前に「年金制度は2階建て」という言葉を聞いたことがありますか?

1階は国民年金、2階が厚生年金です。会社員は1階、2階両方に加入しています。公務員の2階は共済年金です。フリーランスや厚生年金に入っていない派遣社員は1階の国民年金のみとなります。

国民年金(基礎年金)は20歳から60歳までの40年間保険料を支払って、65歳から満額の79万2,100円が受け取れます。(2009年度価格)厚生年金に加入している人は、この金額に老齢厚生年金が上乗せされます。

2階部分は加入期間と給料の額によって決まるので金額は人によってマチマチです。あくまで厚生労働省が定めるモデルケースの参考ですが、40年間会社勤めをして最近定年になったお父さんの場合、1階と2階部分を合わせて200万円くらいです。

もちろん、これより多い人も少ない人もいます。M子の言う「月に8,000円」という数字は、一体どこから聞いてきたのでしょうか?

年金は老後の生活のべースに

「20歳から60歳までの現役世代が保険料をドンブリに入れ、年金受給世代にはその中から支払われるという仕組で、運用はそのドンブリの中で行われる」という私の説明にM子は興味津々でした。

ドンブリに貯まっているお金は「年金積立金管理運用独立行政法人」という機関が運用します。資金の半分以上は安定的に国内債券で運用しているので、株価の下落がストレートに影響を与えるわけではありません。

それよりも少子高齢化の方が影響大です。ドンブリからお金を取る人が増えるのに入れる人は減っていくわけですから、厚生年金保険料や国民年金保険料のアップが毎年実施されているのです。

若い世代は親世代に比べて負担と給付のバランスが悪くなることが予想されます。だからといって「年金は破綻する!もらえない!」といった極端な考え方は危険です。

先述の年金額を見て「こんなにもらえるんだ」と思う人はいないでしょうが。年を取ってから働いて年金額分の収入を得る自信のある人もいないでしょう。

公的年金は生きている限り受け取れる終身年金ですから「老後の収入の基礎的な部分を担うもの」と位置づけます。

プラスアルファの部分は自分でお金を貯めていくことですね。公的年金は老後以外に病気や事故で障害を被ったときの「障害給付」や「遺族補償」も含まれていることも覚えておきましょう。